本当の俺を愛してくれないか?
空を見上げると、しんしんと雪が降り積もる。


「...待つしかない、よね?」


力が抜けたようにそのままベンチに座り込む。


なんで約束した時に最上部長の連絡先をちゃんと聞いておかなかったんだろう。


とにかく私は最上部長の無事を祈りながら待つしか出来ない。


本当に事故とかじゃなければいいんだけど...。

別にもう来なくてもいい。
一緒にクリスマスを過ごせなくてもいいから。

だからお願い。
無事でいて下さい。最上部長...。


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ーーーーーー


「10時、か」


時計を見ると10時を過ぎていた。


もうSkyも閉店しちゃった。


「どうしよう...」


最上部長、本当に大丈夫かな?何もなかったのかな?


さっきから雪は本降りになってきて、私の上にも雪が降り積もってきた。


さすがに寒くなってきちゃった。


お店の中で待ってようかな。


そう思い、立ち上がりお店へと向かおうとした時


「小林さん!」


大きな声と共に掴まれた腕。


「...最上部長」


目の前には息を切らして、髪が乱れた最上部長。


「...よかっ、た...」


心配で心配でたまらなくて。
そんな最上部長が今、目の前にいる。

安心した気持ちが涙として溢れてきてしまった。


「ごっ、ごめん!本当にごめん!...会議が思いの外長引いちゃって...。終わったのが10時前で...。本当にごめん...」


違うのに...。
謝って欲しくなんてないのに。私はただ...。


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