本当の俺を愛してくれないか?
それから数日、年末に向けて忙しい日々が続いた。
最上部長は特に忙しそうで、ただ会社で挨拶を交わす程度しか会話していない。

小森さんも挨拶程度で以前のように話し掛けてなんてこなくて。

咲花にも『宏美に飽きたんじゃない?』って言われた。
他に好きな人が出来たのかもしれない。

新米の私でさえも忙しい年末。
忙しさに追われて小森さんのことは、頭の片隅へといってしまっていた。


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「あー、やっと明日から休みだねぇ」


「本当だねぇ。疲れた」


今日は年内最後の出勤日。
お昼休みだけど社食や外に食べに行く時間が勿体無いから、今日ばかりはほとんどの人がじぶんのデスクで軽く昼食を取っていた。


「ねーねー、最上部長とはどうなってんのよ。明日から休みだけど会う約束とかしたの?」


「ちょっと咲花!ここ会社!」


いくら小さな声で言っているからっていつ誰が聞いているか分からないじゃない。


「大丈夫だって。みんな昼休み中でも仕事してるし。誰も聞いてないわよ」


「そうかもしれないけど...」


やっぱり気になるよ。


「で?どうなの?メールとかしているんでしょ?」


「してるわけないじゃない。ただ交換しただけだもん」


「えぇー!何やってるのよ!普通は連絡するでしょ」


「そんなこと言われたって...」


だって最上部長、すごく忙しそうで疲れてそうだし。
そんな時に私から連絡したら迷惑じゃない?


「なんでもいいのよ。例えば最近疲れてそうだから体調大丈夫ですか?とか」


「...そうは言っても、私別に彼女じゃないのにそんなこと言われても嬉しくないかなって...」
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