本当の俺を愛してくれないか?
確かめずにはいられず、遅れて俺もオフィスを飛び出していた。


どうしても確かめたくて。

...そして、俺の気持ちもちゃんと伝えたくて。


いつの間にか昼休みは終わっていて、廊下には人がいなくなる。


もしかしてもう戻ったのだろうか?


そうかもしれない。

一度オフィスに戻ろう。
第一上司の俺がさぼっているとかまずいだろう。

感情的になりすぎた。

...仕事が終わってから伝えよう。


そう思い戻ろうとした時、聞こえてきたすすり泣く声。


もしかして...!


聞こえる方へゆっくり向かうとそこは非常階段で。
そしてこちらに背を向けたままうずくまるように座って泣いている小林さんがいた。


いた...。


泣いている、んだよな?


その姿に胸が締め付けられる。


「小林さん...?」


そっと声を掛けると小林さんはビクッと身体を震わせる。

きっと気付いているはずなのに、一向にこちらを見ることなく小林さんはより一層身体を小さくする。


小林さんには悪いけどそんな姿でさえ可愛いと思ってしまう俺は、重症なのかもしれない。

小林さんにゆっくりと歩み寄り、隣にそっと腰掛ける。


すると小林さんは顔を膝に埋めたまま話始めた。


「...ごめっ、なさい。迷惑かけてしまって...」


えっ?


「なんで迷惑だって思うの?」


俺はそんなこと全然思っていないのに。


「だって...!」


そう言って顔をあげた小林さんの顔は涙によって化粧はボロボロで。目が赤くて。


「だってそうじゃないですか。...あんなみんなの前でこっ、告白とか...迷惑、じゃないですか」


そう言うとまた小林さんは顔を膝に埋める。


「分かってます...。最上部長が菜々子さんを好きだってことは。でも私、それでも最上部長が好きで。
何度か諦めようとしたんですけど無理で...。菜々子さん以上に私のこと好きになって欲しくて」


本当にもう、なんでこんなにいちいち可愛いこと言ってくれるんだろう。


「...あの、さ。小林さんは何か勘違いしてない?」


「えっ...?」












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