【完】お人好しな彼に、恋をしました。
隣で鈴音ちゃんの声がする。
ここがどこなのかは、分かってるつもりでいたけど。
「………す、き」
無意識のうちに、口からこぼれ出た言葉。
小さすぎるその声は、きっと誰にも聞こえてないだろう。
隣にいる彼女は編み物に必死だし、みんな勉強したり本を読んだりと自分の世界にいる。
私が恋するということを、人を好きになるという気持ちを理解した時
同時にそれは叶わない想いだということも、悟った。