【完】お人好しな彼に、恋をしました。
確かに、言われてみれば思い当たる節はある。
遠足や勉強会の時はまだ好きだって自覚はなかったから、なかなか焦ったけど。
嬉しすぎて、まだいろいろと信じられない。
「後悔したくなくて、君に話しかけた。でも、俺は少し困った。俺は君のこと『ブス』とか『バカ』とかそんなんばっかで……
君の名前を一度も呼んだことなかったから」
彼の手が、私の頬に触れる。
ひんやりとしていて、私の熱くなった頬を冷やしてくれる。
「……呼んでいい?君の名前」
「……は、い」
「……琴葉」