【完】お人好しな彼に、恋をしました。
これも、後夜祭の魔法のおかげなのかな?
「ね、あの頃みたいに俺の名前も……呼んでほしい」
「種梨くんの、名前…」
遥希くん?
……ううん、私は彼をそう呼んだ記憶はない。
『───くん、 ───くん』
数え切れないほど呼んだのに。
どうして思い出せないんだろう……
「ごめん、私……」
「そっか。じゃあ、耳貸して?」
彼が私の耳元に唇を寄せる。
と、吐息が……っ!
ドキドキして、聞くどころじゃないよ!