【完】お人好しな彼に、恋をしました。
彼に向けてるのはきっと、哀れみや同情の感情。
特別な理由なんて、あるわけない。
教室はものの数分で人気がなくなり、私は自分の席からただぼーっと窓を眺めていた。
「……あれっ、瀬野さん?」
教室の入り口にいるのは、驚いた様子の種梨くん。
……大量の紙束を抱えて。
「帰んないの?」
種梨くんは自分の席……ではなく、私の1つ後ろの田中さんの席に座った。
後ろの席の彼の方を見ながら言う。
「……どうして引き受けたの?」