都会育ちのギャルが田舎に転校してきました
しかし紙を開けば―――青い文字に驚愕し、目を見張る。
白い紙に一言だけ書かれた言葉に。
ゆっくり右隣を見ると、艶やかな漆のように黒き目と目が合わさる。
お互い、何も言わない。
『出羽国と陸奥国の戦国大名であり、同時に陸奥仙台藩の初代藩主でもある。伊達氏第16代当主・伊達輝宗と最上義守の娘・義姫の嫡男だ。幼少時に患った疱瘡により右目を失明し、隻眼となったことから――――――――――』
禿げ教師の単調な声が聞こえる。つらつらと日本史の教材に書かれた文章を読み上げていた。
その読み上げられた文章は左から右へとすり抜ける。何を言ってるのか分からない。
頭の悪い私は、まず誰の話をしているのかさえ分からない。大名?将軍?――――どうだっていい。
今の私は、教科書でもなく、禿げ教師の声でもなく、この漆黒の目に釘付けだからだ。