都会育ちのギャルが田舎に転校してきました
逸らしていた目を、金髪が見え隠れする後部座席にやる。今だ尚、珍しく騒ぎ立てる愛莉紗を一見し、母親は言った。
父親は言う気力さえないようで、必然的にそれは母親の役目となってしまう。
「諦めなさい」
「嫌!」
「駄目よ、愛莉紗。貴女も今日からこの街に住むの」
「……」
「良いところよ?長閑で自然豊かだもの。きっと愛莉紗もそのうち気に入るわ。ねえ真麻?」
「え!?…うん」
「ほらね!本当に良いところなのよ?ここは。皆良い人ばかりでね?昔はお母さんもお友達と旅行でここに来たのよ。そしたらお父さんに出逢ったの!まさに運命の出逢いだったわ!それでね――――――」
鋭い眼差しと、低い声で一喝した母親に、愛莉紗は押し黙る。そんな愛莉紗に今度は柔らかい声でこの街の魅力を語り出した。