終わりを紡ぐモノクロ

邂逅

ただただ見惚れていた。
あまりの綺麗さに、どうして少女が此処に居るのかも忘れて。
足首へと届くほど長い黒髪は艶やかで、肌は白く人形のよう。
そして涼やかな目許、透き通った漆黒の瞳は――恐怖の色を、映していた。

はっと気が付くのも遅く、少女は逃げるように後退していく。
息が荒い。苦しそうに胸を押さえる手は、震えている。
理由はわからないが、きっと私が来たからだ。

「ごめんね、怖がらせてる。…何もしないよ。」

距離は詰めず、両手を挙げて真っ直ぐに見据える。少女の警戒が、恐怖が落ち着くのを待つ。