終わりを紡ぐモノクロ
戸惑い、躊躇しながらも、小さく聞こえた好きにしたら、という言葉が嬉しくて、思わず近寄る。
近付くぶんだけ、下がっていくのは少し寂しいけれど、本当に嬉しくて。
「ありがとう。」
つい、と逸らされた視線。
ああ、知らないのかな、なんてぼんやりと思う。
「…どういたしまして、なんて、言うようなこと…してないのに。へんな、ひと。」
感情のない瞳が、私を映す。映った私はあまりにも締まりのない顔だったから、だから、また笑った。
綺麗で、可愛い彼女がこうして笑うところを、いつか見てみたい。
「したよ。私は君と友達になれて、嬉しい。」
「とも、だち。…そう…だから、あなたはそうして…わら、う…のね。」
やっぱり、へんだわ。と続けたけれど、嫌そうではなかった。…気がする。
その日、美しい女の子に出会い、私は此処へ通うことを決めた。
腹に溜まる父への不信感は、見ないふりをして。