徒花
コウの記憶が塗り潰されて、顔さえよく思い出せない。
異物に体内を貫かれ、気持ちの悪い息遣いが行為の醜さを物語る。
これ以上、殴られることへと恐怖心の方が勝った私には、もう抵抗する気は失せていた。
心も体も擦り切れそうだ。
千切れてしまいそうなほどの痛みが感情を削ぎ落とす。
まるでデクノボウだ。
ダッチワイフよりずっと価値がない、ただの穴。
コウに愛されていると、コウを信じようと、思った私が馬鹿だった。
「泣かないんだ? ってことは、マリアちゃんもこの状況を楽しんでるってこと?」
「………」
「そりゃそうだよね。男好きって顔してるし。キャバやってたんでしょ? 何よりあのコウと付き合ってるんだもんね」
「………」
「類は友を呼ぶってね。あんな女好きといるくらいだから、そりゃあ、マリアちゃんだって同じだよね」
カイくんは反対側のソファで私が犯される様子を傍観しながら、笑っていた。
こんなことを言う人だとは思わなかった。
私は今までそんな風に思われていたの?
私はカイくんを睨み付ける。
「おいおい、何で睨むんだよ? 俺悪いこと言った? 悪いのは俺じゃなくてコウだろ」
歪んだ目。
「コウは所詮、そんなやつさ。それでも結婚するんだろ? いいじゃん、いいじゃん。そういう夫婦の形もありだ」
「………」
「そんで、たまにこうやって乱交パーティでも開いてくれりゃ、最高の夫婦さ」
耳から入った言葉は脳まで届かない。
私の思考は完全にその機能を失っているらしい。
もう痛みさえも感じない。
我慢すればいいだけだ。
ずっと私はそうしてきたのだから。
異物に体内を貫かれ、気持ちの悪い息遣いが行為の醜さを物語る。
これ以上、殴られることへと恐怖心の方が勝った私には、もう抵抗する気は失せていた。
心も体も擦り切れそうだ。
千切れてしまいそうなほどの痛みが感情を削ぎ落とす。
まるでデクノボウだ。
ダッチワイフよりずっと価値がない、ただの穴。
コウに愛されていると、コウを信じようと、思った私が馬鹿だった。
「泣かないんだ? ってことは、マリアちゃんもこの状況を楽しんでるってこと?」
「………」
「そりゃそうだよね。男好きって顔してるし。キャバやってたんでしょ? 何よりあのコウと付き合ってるんだもんね」
「………」
「類は友を呼ぶってね。あんな女好きといるくらいだから、そりゃあ、マリアちゃんだって同じだよね」
カイくんは反対側のソファで私が犯される様子を傍観しながら、笑っていた。
こんなことを言う人だとは思わなかった。
私は今までそんな風に思われていたの?
私はカイくんを睨み付ける。
「おいおい、何で睨むんだよ? 俺悪いこと言った? 悪いのは俺じゃなくてコウだろ」
歪んだ目。
「コウは所詮、そんなやつさ。それでも結婚するんだろ? いいじゃん、いいじゃん。そういう夫婦の形もありだ」
「………」
「そんで、たまにこうやって乱交パーティでも開いてくれりゃ、最高の夫婦さ」
耳から入った言葉は脳まで届かない。
私の思考は完全にその機能を失っているらしい。
もう痛みさえも感じない。
我慢すればいいだけだ。
ずっと私はそうしてきたのだから。