徒花
カイくんは一度として私に触れることなく、煙草を吸いながら行為を見ていた。
男たちの精液にまみれた私は、だらんと腕を伸ばしたまま。
コウに対する憎しみだけが増幅していく。
これがコウの望みなのだろうか。
私をこんな目に遭わせることが、コウの本気の愛だとでも言うのだろうか。
「どうもごちそうさまぁ」
男たちの、ギャハハハという笑い声が響いた。
「なぁ、マリアちゃん。間違っても警察に行こうなんて考えないことだよ。そしたらマリアちゃんの“愛しい旦那様”まで捕まっちまう」
「………」
「それだけじゃない。マリアちゃん自身、俺らに何されたか、みんなに知れ渡っちまう。そんなの嫌でしょ?」
「………」
「あ、だからって、間違っても自殺しようなんて思っちゃダメだよ。そしたらコウも俺らも悲しくなるから」
「………」
「聞いてる?」
口から乾いた笑いが漏れた。
無理に口角を上げた所為で、先ほど殴られた頬がひりひりする。
どこもかしこも痛いから、どこをどうすればいいのかもわからない。
「何笑ってんの? 気持ち悪いんだよ」
カイくんは私の顔に唾を吐いた。
キモチワルイ。
キモチワルイ。
ぐるぐるぐまわる。
もう二度とコウとは会わないと誓った。
私はコウの、暇潰しの道具なんかじゃない。