徒花
連れ帰られた場所は、私の部屋だった。
コウはずっと私を抱き締めていた。
私が暴れても、叫んでも、それでもコウは言葉通り、片時も私から離れようとはしなかった。
クスリがないと頭が痛い。
クスリがないと気持ちが悪い。
クスリがないと――。
私は半狂乱だった。
狂ったように泣き、喚き散らして、コウを殴った。
罵声を浴びせ、何度となく殴り付けたのに、コウはやっぱり私の傍にいた。
突然別れを告げた挙句、最後にはクスリに逃げた、私の傍に。
「それでお前の気が済むなら」と。
「それで楽になるならいくらでもすればいい」と言いながら。
無理やり食べさせられた食事は吐いた。
それでも、茶碗を払ってひっくり返しても、コウは何も言わなかった。
だから私はずっと泣いていた。
腫れぼったくなった瞼が開けられなくなっても、声が嗄れても、私はコウの胸の中で泣き続けた。
涙腺が壊れてしまったみたいに、何がこんなに悲しいのかと思うほどに、涙が止まらなかった。
自分自身に嫌悪した。
どうして消えてなくならないのかと思った。
苦しすぎて、いっそ死ねたならとさえ思っていた。