徒花
私は一直線にお化け公園に入った。

コウは首を傾げながらも私の後に続く。



「今の、コウも聞こえたでしょ?! ボスの鳴き声だよ! 絶対に間違いないから!」

「俺には何も聞こえなかったけど……」

「そんなはずないよ! 私ちゃんと聞いたんだから!」


ぐるりと見渡した公園内に、その姿は見つけられない。

だけど確かに声を聞いた私は、草の根を掻き分けた。


と、その時。



「あ……」


手が止まった。


ボスがいた。

でもその姿はもう、



「死んでるな」


コウは目を伏せ、ぼそりとそう呟いた。


草むらに身を隠すように横たわっているボスの体は、ぴくりとも動かない。

まるでひっそりと逝くように、死んでいた。



「今、こいつの声が確かに聞こえたんだろ? だったら、マリアに最期の挨拶をしたのかもしれない」

「………」

「もしかしたら見つけてほしかったのかもしれないな。独りで逝くのは寂しいから。だからマリアだけに聞こえる声で呼んだんだよ、きっと」


私は肩を震わせた。


また私の所為だと思ったから。

身勝手な私の所為で、ボスまで失ってしまった。



「埋めてあげよう?」


コウは私の体を引き寄せた。
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