徒花
「なぁ、親、何で死んだの?」


普通、こういう話をここまでズケズケと聞いてくるものなのだろうか。

確かに、私自身、気にしてることじゃないとはいえ、コウは気遣いさえ見せない。


私は肩をすくめ、



「事故だよ。トラックに後ろから追突されて、そのまま」

「………」

「で、そのトラックの運転手っていうのが、運転中にコーヒーを飲もうとしてたらしくて。それで、よそ見してるうちに、ガシャーンって」

「………」

「だからってわけじゃないけど、私は幼心に、コーヒーを憎んだの。コーヒーさえなければ、コーヒーなんて嫌い、って」

「あぁ、それであの時に」

「馬鹿でしょ。別に飲めないってわけじゃないんだけどさ。何か、苦手意識があるっていうか、トラウマみたいな?」


コウは「ふうん」とだけ。

それ以上、何か言うわけでもなくて。


だけど、下手に同情の言葉を投げられるよりはずっとよかった。



「他に聞きたいことは?」

「俺のこと好きになった?」


真面目に聞いた自分が馬鹿らしくなる。

私はため息混じりに肩を落とし、



「あのねぇ、今そんな話してないでしょ」

「そうだっけ?」


コウは飄々と言う。


やっぱりあまり噛み合わない。

この人は、一体どういう思考回路をしているのか。

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