徒花
今度はすべてをカイくんになすりつけようというつもりなのだろうか。
けれど、コウは必死そうに私の両肩を掴んで揺する。
「ほんとのこと言ってくれ、マリア」
コウは真っ直ぐに、私をその瞳の中に入れ、
「あの日、カラオケ屋で、俺がいなくなった後、カイがそう言ったんだな? そんで、あの後輩共がお前のことヤッたんだな?」
私は目を逸らした。
頷くことはできなかった。
認めてしまえばあれが夢だったとは思えなくなるから。
「じゃあ、何? コウは何も知らなかったとでも言うの?」
「俺は何も知らなかった」
「だったら、カイくんが勝手にしたとでも言いたい?! そんなことあるわけないじゃない! カイくんが私にあんなことする理由はないもの!」
「でも俺は知らなかったし、カイが勝手にしたことだ!」
コウが嘘を言っているようには思えなかった。
そんな、馬鹿な。
私はへなへなとその場に崩れた。
「……私は、何のために……」
作った拳は震えていた。
「コウが悪いと思った。だから別れた」
「………」
「そしたら、おばあちゃんが死んで、親戚たちから責められて。苦しかった。辛かった。誰かに助けてほしいと思った」
「………」
「助けてくれたのはてっちゃんだった。てっちゃんがくれたのがクスリだってすぐに気付いた。でももう楽になりたいって思った。苦しいことや辛いことから逃げたかった」
「………」
「なのに、コウの所為じゃなかった?」
けれど、コウは必死そうに私の両肩を掴んで揺する。
「ほんとのこと言ってくれ、マリア」
コウは真っ直ぐに、私をその瞳の中に入れ、
「あの日、カラオケ屋で、俺がいなくなった後、カイがそう言ったんだな? そんで、あの後輩共がお前のことヤッたんだな?」
私は目を逸らした。
頷くことはできなかった。
認めてしまえばあれが夢だったとは思えなくなるから。
「じゃあ、何? コウは何も知らなかったとでも言うの?」
「俺は何も知らなかった」
「だったら、カイくんが勝手にしたとでも言いたい?! そんなことあるわけないじゃない! カイくんが私にあんなことする理由はないもの!」
「でも俺は知らなかったし、カイが勝手にしたことだ!」
コウが嘘を言っているようには思えなかった。
そんな、馬鹿な。
私はへなへなとその場に崩れた。
「……私は、何のために……」
作った拳は震えていた。
「コウが悪いと思った。だから別れた」
「………」
「そしたら、おばあちゃんが死んで、親戚たちから責められて。苦しかった。辛かった。誰かに助けてほしいと思った」
「………」
「助けてくれたのはてっちゃんだった。てっちゃんがくれたのがクスリだってすぐに気付いた。でももう楽になりたいって思った。苦しいことや辛いことから逃げたかった」
「………」
「なのに、コウの所為じゃなかった?」