徒花
「いい飲みっぷりだねぇ」
にやにやと笑ったコウは、
「よしっ! じゃあ今日は、とことん腹割って話そうぜ!」
「えー?」
「『えー?』じゃねぇよ」
酒がスイッチになったのか、コウはいきなり楽しそうだ。
私はテーブルに頬杖をつく。
「私には割るほどの腹なんてないけど」
言ったのに、聞いちゃいないコウは、
「なぁ、何でキャバ辞めたの? 折角、ナンバーワンだったのに」
「だからぁ、あれはほんと暇潰しでやってただけで、好きでナンバーワンになったわけじゃないし。で、しつこいお客もいたし、面倒くさくなったから、辞めたの」
「もったいないねぇな」
「そう? たかがバイトじゃん」
「『たかが』って」
「だってそうでしょ? 仕事なんかに縛られたくないし、嫌になったら辞めて何が悪いの?」
「まぁ、そりゃそうだ」
「私は、働きたくなったら働くし、遊びたくなったら遊ぶ。そうやって生きてきたし、それでいいの」
でも、だからこそ、毎日つまらないのだけれど。
「それより、そっちこそ何やってる人なの? 毎晩のようにあのお店にいるみたいだけど、仕事とかしてんの?」
「俺はほら、自由人だから」
「何それ?」
「自由に生きることが俺の仕事、みたいな?」
よくわからない男だ。
やっぱりチャラチャラした見た目の通りなのだろうか。
私は肩をすくめてまた酒を流す。
にやにやと笑ったコウは、
「よしっ! じゃあ今日は、とことん腹割って話そうぜ!」
「えー?」
「『えー?』じゃねぇよ」
酒がスイッチになったのか、コウはいきなり楽しそうだ。
私はテーブルに頬杖をつく。
「私には割るほどの腹なんてないけど」
言ったのに、聞いちゃいないコウは、
「なぁ、何でキャバ辞めたの? 折角、ナンバーワンだったのに」
「だからぁ、あれはほんと暇潰しでやってただけで、好きでナンバーワンになったわけじゃないし。で、しつこいお客もいたし、面倒くさくなったから、辞めたの」
「もったいないねぇな」
「そう? たかがバイトじゃん」
「『たかが』って」
「だってそうでしょ? 仕事なんかに縛られたくないし、嫌になったら辞めて何が悪いの?」
「まぁ、そりゃそうだ」
「私は、働きたくなったら働くし、遊びたくなったら遊ぶ。そうやって生きてきたし、それでいいの」
でも、だからこそ、毎日つまらないのだけれど。
「それより、そっちこそ何やってる人なの? 毎晩のようにあのお店にいるみたいだけど、仕事とかしてんの?」
「俺はほら、自由人だから」
「何それ?」
「自由に生きることが俺の仕事、みたいな?」
よくわからない男だ。
やっぱりチャラチャラした見た目の通りなのだろうか。
私は肩をすくめてまた酒を流す。