徒花
私はパニックだった。
死なないで。
死んじゃダメだよ、コウ。
でも、私の意志とは無関係に、コウの体中から血が溢れてきて。
腹部を押さえても手の隙間からまた垂れ流れてきて。
「コウ! やだ! コウ!」
「……マリ……ア……」
それでもコウは這うように動こうとする。
だくだくと溢れる血。
ひゅう、ひゅう、と聞こえる呼吸音。
「……帰ろ……、マリ……早く……っ……」
「コウ!」
「……俺たち……は……たりで……っ……幸せに、子供も……、だから……」
「…………コウ?」
動かなくなったコウを揺する。
「ねぇ、コウ?」
嘘だと思いたかった。
こんなの信じられるはずはない。
「コウ! 起きてよ! 帰るんでしょ! ねぇ!」
コウの腕を持ち上げようとしたのに。
驚くほど重くなったそれは、だらんとしたままで。
私は泣きながらコウの名前を呼び続けた。
カイくんは横で狂ったように笑っている。
笑いながら、泣いていた。
「コウは死んだんだよ!」
死なないで。
死んじゃダメだよ、コウ。
でも、私の意志とは無関係に、コウの体中から血が溢れてきて。
腹部を押さえても手の隙間からまた垂れ流れてきて。
「コウ! やだ! コウ!」
「……マリ……ア……」
それでもコウは這うように動こうとする。
だくだくと溢れる血。
ひゅう、ひゅう、と聞こえる呼吸音。
「……帰ろ……、マリ……早く……っ……」
「コウ!」
「……俺たち……は……たりで……っ……幸せに、子供も……、だから……」
「…………コウ?」
動かなくなったコウを揺する。
「ねぇ、コウ?」
嘘だと思いたかった。
こんなの信じられるはずはない。
「コウ! 起きてよ! 帰るんでしょ! ねぇ!」
コウの腕を持ち上げようとしたのに。
驚くほど重くなったそれは、だらんとしたままで。
私は泣きながらコウの名前を呼び続けた。
カイくんは横で狂ったように笑っている。
笑いながら、泣いていた。
「コウは死んだんだよ!」