徒花
少しの後、お父さんは「そうか」と漏らした。
「不思議なものだな。あれほど反対する気持ちが占める反面で、わたしは心のどこかできみがそう言ってくれることを願っていたのかもしれない」
お父さんは私の手を強く握り、「ありがとう」と言った。
誰だって迷いはあるし、不安だらけだ。
だって人生の正解の道なんてどこにもないのだから。
けど、それでも、私はこの選択が正しいのだと胸を張れる自信がある。
「行こう。コウが待っている」
お父さんは少し晴れやかな顔になった。
「コウに、最期の別れをしてやろう。向こうであいつが寂しい思いをしないように、きみは時間いっぱいまでコウの傍にいてやってくれ」
「はい」
今になってやっと、私はコウの死を受け入れられた気がした。
コウのお父さんと、コウの子が、私に大丈夫だと言ってくれているみたいで。
斎場に戻ると、ダボくんが心配そうに私を待っていてくれた。
「何話したの? コウの親父さんに変なこと言われなかった?」
「大丈夫」
はっきりとそう言った。
私はもう大丈夫だ。
それから、コウの葬儀が始まって。
私はコウにたくさんの「大好き」を伝えてあげた。
今までのことが蘇ってきて、でも思い返せばどれもとてもあたたかな記憶で。
だからまた会える日まで、私は寂しくは思わない。
「いってらっしゃい、コウ」
コウは笑っているみたいだった。
「不思議なものだな。あれほど反対する気持ちが占める反面で、わたしは心のどこかできみがそう言ってくれることを願っていたのかもしれない」
お父さんは私の手を強く握り、「ありがとう」と言った。
誰だって迷いはあるし、不安だらけだ。
だって人生の正解の道なんてどこにもないのだから。
けど、それでも、私はこの選択が正しいのだと胸を張れる自信がある。
「行こう。コウが待っている」
お父さんは少し晴れやかな顔になった。
「コウに、最期の別れをしてやろう。向こうであいつが寂しい思いをしないように、きみは時間いっぱいまでコウの傍にいてやってくれ」
「はい」
今になってやっと、私はコウの死を受け入れられた気がした。
コウのお父さんと、コウの子が、私に大丈夫だと言ってくれているみたいで。
斎場に戻ると、ダボくんが心配そうに私を待っていてくれた。
「何話したの? コウの親父さんに変なこと言われなかった?」
「大丈夫」
はっきりとそう言った。
私はもう大丈夫だ。
それから、コウの葬儀が始まって。
私はコウにたくさんの「大好き」を伝えてあげた。
今までのことが蘇ってきて、でも思い返せばどれもとてもあたたかな記憶で。
だからまた会える日まで、私は寂しくは思わない。
「いってらっしゃい、コウ」
コウは笑っているみたいだった。