徒花
「え?」
驚いたカイくんは、自分の携帯を取り出して、コウに電話をかける。
が、やはり繋がらなかったらしい。
肩をすくめて煙草を取り出し、
「あいつ、電源切ってるね」
困ったようにそう言った。
「そ、そんなのわかんないじゃない! 電波が届かないところにいるだけかもしれないし! 充電が切れたとか! 事故に遭ってる可能性だってあるでしょ!」
「ありえないよ、そんなの」
「どうしてそう言い切れるのよ!」
「あのね、コウが行く場所で電波が届かないところなんてないし、そもそもあいつはそんなところには行かないよ。充電が切れればコンビニに行って充電器を買うほど携帯依存のやつがだよ?」
「でも……」
「それに事故に遭ってたら、間違いなく俺に情報が入ってくるよ。それがないってことは、つまりはあいつが自分で電源を切ってる以外にない」
カイくんは断言するような言い方だった。
そして煙を吐き出しながら、
「千夏のとこかもね」
考えたくもなかったことを、さらりと言う。
私はカイくんを睨んだ。
でも、カイくんは動じたりなんてしない。
「それしかないっしょ。マリアちゃんが一番だと思うあいつが自分で電源を切るってことは、マリアちゃんに連絡してきてほしくないからでしょ?」
「………」
「喧嘩して腹が立ってる時でも、あいつは、電話には出なくても、電源まで切るようなことはないし。したら、おのずと可能性はひとつに絞られる」
私は唇を噛み締めた。
先に手を離したのは、私なのに。
カイくんはチェストに腰を下ろす。
驚いたカイくんは、自分の携帯を取り出して、コウに電話をかける。
が、やはり繋がらなかったらしい。
肩をすくめて煙草を取り出し、
「あいつ、電源切ってるね」
困ったようにそう言った。
「そ、そんなのわかんないじゃない! 電波が届かないところにいるだけかもしれないし! 充電が切れたとか! 事故に遭ってる可能性だってあるでしょ!」
「ありえないよ、そんなの」
「どうしてそう言い切れるのよ!」
「あのね、コウが行く場所で電波が届かないところなんてないし、そもそもあいつはそんなところには行かないよ。充電が切れればコンビニに行って充電器を買うほど携帯依存のやつがだよ?」
「でも……」
「それに事故に遭ってたら、間違いなく俺に情報が入ってくるよ。それがないってことは、つまりはあいつが自分で電源を切ってる以外にない」
カイくんは断言するような言い方だった。
そして煙を吐き出しながら、
「千夏のとこかもね」
考えたくもなかったことを、さらりと言う。
私はカイくんを睨んだ。
でも、カイくんは動じたりなんてしない。
「それしかないっしょ。マリアちゃんが一番だと思うあいつが自分で電源を切るってことは、マリアちゃんに連絡してきてほしくないからでしょ?」
「………」
「喧嘩して腹が立ってる時でも、あいつは、電話には出なくても、電源まで切るようなことはないし。したら、おのずと可能性はひとつに絞られる」
私は唇を噛み締めた。
先に手を離したのは、私なのに。
カイくんはチェストに腰を下ろす。