徒花
肩で息をしながら、コウは、
「とーにーかーく、俺とマリアは別れねぇんだよ! つーか、俺らはもうすぐ結婚するんだ! どうだ、羨ましいだろ!」
ゲラゲラと笑う。
ユキチくんとダボくんは目を丸くしていた。
ふたりは顔を見合わせ、同時に私に振り返り、
「マリアちゃん、こいつの言ってること、マジ?」
「ははっ」
私は適当に受け流す。
大体、こういうことって、もっとちゃんと、折りを見てきちんと言うもんだと思うし、こんな鬼ごっこみたいなののついでに言うことじゃない。
それなのに、この男ときたら、まったく。
「マジかよ。コウがだぜ? マリアちゃんもどうかしてるよ」
「だよなぁ。折角、コウと別れるチャンスだったのに、まさか結婚宣言とは」
「ほんと、こんなろくでなしの旦那なんてなぁ。子供はもっと不憫だよ」
「俺、親父がこんなだったら、即、家出するな。唯一の取り得の顔だって、おっさんになったらどうなるかだし。あとはコウに何がある?」
ぎゃあぎゃあ騒いで悪口を言うふたりに、コウはついに、「あぁ?!」とキレた。
「揃いも揃って、俺を何だと思ってんだよ! ふざけんなっつーの! 嫉妬か? 嫉妬してんだろ?! 俺の幸せを妬んでんだろ?!」
「妬んでねぇし」
「嘘つけ! ムカつく! 俺はやるって言ったらやる男なんだよ! お前ら、今に見てろよ!」
コウは子供みたいな台詞でわめいていた。
私は呆れ返る。
ユキチくんとダボくんも、本気にすることもなく、ギャハハハハ、と笑うだけ。
「ちょっと、コウ。いい加減にしてよ。うるさい」
私は堪らず口を挟んだ。
「とーにーかーく、俺とマリアは別れねぇんだよ! つーか、俺らはもうすぐ結婚するんだ! どうだ、羨ましいだろ!」
ゲラゲラと笑う。
ユキチくんとダボくんは目を丸くしていた。
ふたりは顔を見合わせ、同時に私に振り返り、
「マリアちゃん、こいつの言ってること、マジ?」
「ははっ」
私は適当に受け流す。
大体、こういうことって、もっとちゃんと、折りを見てきちんと言うもんだと思うし、こんな鬼ごっこみたいなののついでに言うことじゃない。
それなのに、この男ときたら、まったく。
「マジかよ。コウがだぜ? マリアちゃんもどうかしてるよ」
「だよなぁ。折角、コウと別れるチャンスだったのに、まさか結婚宣言とは」
「ほんと、こんなろくでなしの旦那なんてなぁ。子供はもっと不憫だよ」
「俺、親父がこんなだったら、即、家出するな。唯一の取り得の顔だって、おっさんになったらどうなるかだし。あとはコウに何がある?」
ぎゃあぎゃあ騒いで悪口を言うふたりに、コウはついに、「あぁ?!」とキレた。
「揃いも揃って、俺を何だと思ってんだよ! ふざけんなっつーの! 嫉妬か? 嫉妬してんだろ?! 俺の幸せを妬んでんだろ?!」
「妬んでねぇし」
「嘘つけ! ムカつく! 俺はやるって言ったらやる男なんだよ! お前ら、今に見てろよ!」
コウは子供みたいな台詞でわめいていた。
私は呆れ返る。
ユキチくんとダボくんも、本気にすることもなく、ギャハハハハ、と笑うだけ。
「ちょっと、コウ。いい加減にしてよ。うるさい」
私は堪らず口を挟んだ。