ハッピー☆ウエディング
耳に当てた携帯の向こう側から聞こえたのは、まぎれもなく慶介だ。
「ひ、久しぶりだね」
あたしは思わず、そんな事を言ってしまった。
嫌味っぽく聞こえちゃったかな・・・
なんだか無性に嬉しくて、何を言っていいのかわかんない。
『・・・・・・・』
慶介はいつもにまして、無口になっている。
まさか、怒ってませんよね?
「あの?どうしたの?」
あたしはおずおずと聞く。
『・・・・・・今・・・』
「え?」
ほんの少しの沈黙の後、慶介が口を開いた。
『今から、俺のうちに来れないか』
「へ?」
突然の事で、あたしは変な声を出してしまった。
「・・・・い、今からぁ!?」
あたしは時計に目をやる。
9時をまわったところだった。
こんな遅くに・・・・?
『無理なら、いいんだ。』
「無理じゃない!!」
もう、考える事なんかなかった。
あたしは慶介に会いたかった。
「今すぐ行く」
あたしはそう言って電話を切ると、鞄を掴んで部屋を飛び出していた。