ハッピー☆ウエディング
慶介はあたしの大きな声に気づき、
「ああ、葵か・・・」
と、ほんの少し目を開けると口元を緩めた。
「どどどうしたの!?すごい熱だよ?」
「んー・・・昨日からなんかね・・・」
慶介は、体を半分起こしてあたしを見上げた。
「・・・ほんとに来たんだ」
「え?・・・てゆーか薬飲んだの?ご飯は?」
調子が悪いせいか、それとも部屋の暗い照明のせいか、慶介が少しだけ痩せて見えた。
「そういや、なんも食ってないな」
あたしの言葉に、慶介は思い出したような顔をした。
「食べなきゃダメだよっ!あと薬も!!」
あたしは、ベッドに両手を付いて慶介の顔を睨んだ。
(こんな時、お母さんどうしてたっけ・・・)
「・・・薬置いてある?」
慌てておどおどするあたしを見ていた慶介がほんの少し笑った。
「じゃあ、なんか作って」
・・・へっ!!?
「なんか食わせてくれ」
「えええ!?」
驚くあたしをよそに慶介はまたベッドに倒れこんだ。
「つ、作るって・・・・何を・・・・」
「フー・・・」
え!?
あたしが言いかけるのと同時に慶介の深い溜息が聞こえた。
その顔をよく覗き込むと慶介はまた、眠ってしまったようだ。
ってか、なんて強引なんだ・・・
この人は。
あたしは暫くその寝顔を見つめたまま、ただ呆然と立ち尽くしていた。