ハッピー☆ウエディング
慶介の視線を痛いくらい感じながら、あたしは固まったまま目の前の床を凝視している。
そんな時に限って、余計な考えが浮かんでくるもので・・・
いくら体調が悪かったとはいえ、こんな遅くに1人暮らしの男の人の家にいる危険な状況。
息をするのも苦痛なほどの沈黙の中、あたしは慶介のキスを思い出してしまった。
(うわあーん!!!)
あたしのエッチ!!!
なに考えてんだあ!!!
「そんなに身構えるな」
「え?」
頭の中はパンク寸前でも、何食わぬ顔をしているあたしを見てた慶介は言った。
「別に俺の身体見るの初めてじゃないだろ」
「・・・・」
そ-ゆう問題じゃなーい!!!
実際、確かにそうかもしれないけど!!!
でも、それはまた今とは全然違った状況な訳で。
って、言いたいけど言えない。
あたしの声は誰かに盗まれてしまったみたいに、声を出す事を忘れてしまった。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・」
暫しの沈黙の後、隣に座っている慶介が『はぁ』と溜息をついたのがわかった。
そして、あたしの腕を掴んでいた手が静かに離れた。
これだけの事で、こんなになってしまってるあたしに呆れたかな。
子供っぽいって思われたかな。
どうしよ・・・・・・やだよ・・・
ズキン・・・
ズキンズキン
あれ?
なんだ、この気持ち。