ハッピー☆ウエディング
「うわーっ!かわいぃ~」
あたしはイルカの水槽の前で動けなくなった。
「きゃぁ、小さいイルカもいる! 赤ちゃんかなぁ?」
慶介はあたしがはしゃいでいるのを後ろから眺めている。
その視線を感じて、急に背中が痛いくらい熱くなるのを感じた。
あたしってば、きっとまた子供っぽいって思われた。
ひーーん。
「・・・ねえっ」
思い切って振り返る。
ひえーーー!!!
案の定、慶介とすぐに視線がぶつかる。
タバコを吸いながらあたしのはしゃぐ姿を眺めていたようで、ベンチに座ってこちらを見ていた。
あたしは思わず俯いた。
うぅ・・・なんか物凄く恥ずかしいし。
「どうした?」
すぐ横で声がした。
見上げると、慶介が並んであたしを見下ろしている。
ドキン!!!
まだ、少しタバコの匂いがする。
あたしは、眩暈にも似た感覚に襲われた。
それに気づかれたくなくて、慌てて水槽に視線を逸らした。
「あ・・・あの!・・・イルカってどうやって寝てるのかなっ」
動揺して、どうでもいい質問をしてしまったあたしを見て、慶介は「うーん」とイルカを眺めた。
そして、暫く黙っていた慶介は腕組みをした。
「イルカは寝ないんだ」
「え?」