ハッピー☆ウエディング
『・・・プルルル プルルル プルルル』
美羽がしっかりかかったのを確認すると、持っていた携帯をあたしに手渡した。
「ちょ・・・ちょっと!美羽なにすんのよ!」
「葵がもたもたしてるからじゃん!ほらっ、ちゃんと聞いて!」
あたしは恐る恐る受話器に耳をあてる。
ぎゃー!!!かかってるううぅぅぅ!!!
思わず携帯を落としそうになってしまう。
もう!
あたしってばなんでこんな動揺してんの?
そうよ・・・普通にしてればいいんだよ。
別にあたし悪い事していもん!!
あたしはもう一度、携帯を握りなおすと、ゆっくり耳にあてた。
『 プルルル プルルル プルルル プルルル プルルル 』
「・・・・はあ」
――出ないじゃん。
あたしは、溜息を付いて『切』ボタンを押しかけた。
『・・・・・・・・もし・・・し』
「!?」
一瞬、受話器越しに声が聞こえた気がして、驚いた。
「!?・・・・・もっもももしもし???」
『・・・・・・・葵?・・・』
ドキンドキンドキン
け・・・慶介だあぁぁ・・・
久しぶりに聞く、慶介の声に思わず視界がぼやけてきてしまう。
「け、慶介?あたし、あのっ・・・」
たくさん話したい事があったはずなのにうまく言葉が出てこない。
でも、慶介だよぉ・・・
声を聞くだけでこんなに嬉しいなんて思ってもなかった。