ハッピー☆ウエディング
風間さん
結局、その日は慶介からの連絡はなかった。
あたしは、なるべく慶介を思い出さないようにしていた。
だって・・・
思い出せば、苦しいから・・・・
そんな日が続いたある日―――
「葵~ちょっと~」
部屋にいたあたしをお母さんが呼んだ。
「なに?」
あたしはのそのそと階段を降りてリビングの戸を開けた。
「う~ん。葵にちょっとお願いがあるんだけどぉ・・・」
「・・・あたし、やだ」
あたしは、母親の言葉を最後まで聞かずに言った。
母は、掃除をしている手を止め、あたしを見た。
「・・・・まだ、何も言ってないじゃない」
「言われなくてもわかるの。」
あたしは冷蔵庫を開けて、お茶を取り出した。
母はあからさまに残念そうな顔をする。
そんな顔しないでよ!
あたしが悪いみたいじゃない!!!
あたしは溜息を付きながらイスに腰を下ろした。
「・・・聞くだけ聞いたげる」
「え?」
今度は嬉しそうな顔をしてタンスのひきだしを開けている。
そしてなにか茶色い封筒のような物を取り出すとあたしの元へ持ってきた。
「実はね、これなんだけど・・・」