ハッピー☆ウエディング

顔から一気に血の気が引いていく。



雪絵さんがそんなあたしの様子に気がついて、覗き込んだ。




「どうしたの?顔色、悪いわよ?」


「い、いえ。何でもないです」



あたしは冷静を装って答える。
そんなあたしに、雪絵さんはにっこり笑って言った。



「そうだ。慶介君いるわよ?会って行って」

「えぇ!?」



あたしは雪絵さんの思わぬ提案に驚いて顔を上げた。


「ほら、一緒に来て」


そう言って、半ば強引にあたしの腕を引っ張って歩き出した。


「あの!あたし、書類届けにきただけなんで」


その腕を離そうにも、思った以上にしっかり掴まれていて振りほどけなかった。



ズルズルと広い廊下を歩く。




なんで、あたし雪絵さんと歩いてんの?
ってか、お母さん、慶介の会社だって言ってくれればいいのに。


ブツブツ言っている間に、あたしは同じ階の【開発部】と書かれたフロアに連れてこられた。



「えーと・・・・」



雪絵さんはキョロキョロと広いフロアの中を見渡した。
お願い!居ないで!!!




「あ!いたいた。慶介く~ん」

「・・・」



あたしの願いもむなしく、雪絵さんは慶介を見つけあたしをさらに奥へと連れて行った。




この人、大きなお世話だっつーの。




あたしは、心の中で呟いた。

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