ハッピー☆ウエディング
家に帰っても、まだ夢の中にいるみたい。
体がふわふわしてて、しっかりと地面に足が着いてる気がしない。
「葵?」
母親の声もあたしには届かない。
「どうした、葵?」
父親の声も。
「ねぇちゃんのブース」
弟の声だって・・・
「・・・・ぉぃ・・・誰がブスだ」
「おわッ聞こえちゃった?」
亮は慌てて自分の部屋に退散して行く。
あたしは、亮の背中を睨みつけて小さく溜息をつく。
「ほんとにどうしちゃったの?帰ってきてからおかしいわよ。熱でもあるの?」
母は心配して、あたしの額に手をやった。
「大丈夫だよ。なんでもないってば!!」
「でも、顔、真っ赤よ?」
首を傾げて、あたしを覗き込む母の視線を避けながら、あたしはリビングを出た。
溜息をついてドアにもたれる。
はあ・・・
慶介・・・まだ仕事かな。
あたしは、そっと唇に触れた。
まだ、甘い感触が残ってる。
慶介って、意外と大胆なんだな・・・
・・・って、あたしってば何考えてんだ!!
自分の顔が赤く火照っていくのを必死に抑えた。