ハッピー☆ウエディング
今度はクローゼットじゃなくて、母と睨み合っている。
「・・・葵」
「はい・・・」
じっと舐めるようにあたしの頭から足のつま先まで眺めると、母はにっこりと笑った。
「よし!行ってらっしゃい」
そう言って、あたしの背中を押した。
「行って来ます!」
あたしもにっこり笑って玄関を開けた。
慶介は車にもたれて煙草をふかしていた。
あたしに気づくと、慶介は体を起こして片手を挙げた。
「おはよう」
「あ・・・お、おはよう。」
慶介は眩しいくらいの笑顔をあたしに向けている。
なんだか照れくさくて、慶介の顔がまともに見れない。
「じゃ、行こうか」
そう言って、慶介は煙草の火を消して車に乗り込んだ。
「どうぞ。」
あたりまえのように助手席のドアを開けてくれる慶介。
「ありがとう」
うわあ~・・・
なんかこういうの久しぶりかも!!
あたしは空を見上げた。
天気は快晴!!
あたしの心は蒼く澄みわたったこの空のように弾んだ。