ハッピー☆ウエディング
あたしは思いきって疑問をぶつけてみようと思った。
「あのっ……一ノ瀬さん……」
「慶介でいいよ」
ハッとして顔をあげる。
慶介は、慣れた手付きでフォークとナイフを使い分けている。
「結婚するのに、君が“一ノ瀬さん”はおかしいだろ」
結婚・・・・どうして・・・・・
「………どうしてあたし達、結婚するの?」
あたしは、慶介を見つめた。
動いていた手が止まり、慶介は顔を上げた。
今日の慶介はいつものように、前髪をしっかりと上に上げている。
慶介に見つめられて、急に手がじっとりと汗ばんでくるのがわかった。
あたしの目は、慶介の口元に吸い寄せられた。
この前のキスが頭をよぎる。
あたしのバカバカ!!
こんな時になに思い出してんだ!!!
冷静を装って、布巾で口を軽く拭いた。
「それは…」
数秒の沈黙のあと、慶介が口を開いた。
その時――――