ハッピー☆ウエディング
「じゃあ、俺は行くから」
「え?」
肩にそっと触れて、体を離すと慶介があたしの顔を覗き込んだ。
まだ来たばっかりなのにっ!
久しぶりに会ったのに・・・
あたしはまだ一緒にいたいよ。
そんな想いを巡らせて、慶介の視線に自分の視線を絡ませた。
「その目は反則だな」
慶介はそう言うと、肩に触れていた手を首筋に這わせた。
「今日はもう遅いし・・・」
「・・・・」
首筋を伝う手は鎖骨をゆっくりとなぞった。
ひゃあっ!?
背筋がぞくぞくして、思わずキュッと目を閉じた。
「・・・っ」
「また明日な」
そう言って慶介はおでこに軽くキスを落とした。
はっとして慶介を見上げると、いつもの慶介がそこにいて、口角をクイッと上げて悪戯に笑った。
うう・・・
遊ばれてる?
これこそ“反則”でしょ?
あたしはまだ慶介の熱が残る額にそっと手を当てて、遠くなる車のテールランプを見送った。