ハッピー☆ウエディング
夢をギターにのせて
『葵~っどうしよう・・・あたし、あたし・・・』
受話器の向こうから美羽の声が響く。
「ちょっ・・・ちょっと待って!どうしたの?落ち着いて話して?」
なだめるように、言うと美羽は鼻をすすった。
『タケルってばひどいんだよ?』
“タケル”とは美羽の彼氏だ。
あたしは『またか』と思い、小さく溜め息をついた。
『アイツ、また違う女と遊んでたんだよ!もうあたし限界!』
タケルと美羽は中学の頃からの付き合いだ。
タケルは見た目通りチャラチャラしてて、取っ替えひっかえ女の子を連れている。
その事で美羽から何度も相談を受けいた。
その度にあたしは「あんなヤツ別れちゃいな!」って言うんだけど・・・
簡単に別れられる程、美羽の想いもそんなに単純なものでもないて・・・
「もう今回は絶対無理!」
涙声の美羽がそう言う。
「美羽、今どこにいるの?」
周りの雑音に耳を澄ませて言う。
「えっ・・・駅前の本屋・・・」
「うん。今からそっち行くから、待ってて?」
あたしはそう言うと、電話を切った。