ハッピー☆ウエディング
「・・・?」
『はあ?』と眉間にシワを寄せる彼から視線を落とした。
地面には、あたしの携帯が転がっていた。
ハッとしてまた彼に視線を戻した。
「あのさ・・・なに勘違いしてるのか知んないケド、めちゃくちゃ心外。」
「・・・」
そう言って、転がったままの携帯を拾い上げるとあたしに手渡した。
「俺にも、選ぶ権利はあるんでね」
「・・・」
口を開けたまま、あっけにとられているあたしを見て、彼はフンと鼻で笑った。
「―――・・・・・・」あたしは恥ずかしさのあまり、全身が火照っていくのを感じた。
うわぁ・・・
あたしってば、マジ最悪。
穴があったら、入りたい!!!
「あ。俺、ここでライブやってんだわ。たまには聞きに来いよ。
それで、今日の事は水に流してやるから。」
そう言って、固まったままのあたしの肩に『ポン』と手を乗せた。
「俺、瑛太(エイタ)。じゃーな、葵。」
くるりと向きを変え、片手をヒラヒラ振る彼を呆然と見送る。
「・・・・・・」
え?
あれ?
「なっ、なんで名前・・・」