ハッピー☆ウエディング
なにも言わない絵梨ちゃんに、慶介は『はあ』と溜め息をついて目の前で美味しそうに湯気をたてていたコーヒーを口に運んだ。
「・・・・・・・・がいけないんじゃん」
うつむいたままの絵梨ちゃんから消え入りそうな声がした。
慶介はコーヒーを口にしたまま視線だけを彼女に向けた。
でも、絵梨ちゃんの顔を見た瞬間、その手を止めて彼女を見上げた。
だって、絵梨ちゃんてば大きな瞳一杯に涙を溜めて慶介を睨みつけていたから。
あたしは嫌な予感がして、袋を掴んだままの手にジワリと汗が伝った。
ドキンドキン・・・・
なんだろう。
「慶介がいけないんだよっ」
もう一度大きな声で言った絵梨ちゃんの頬にとうとう一筋の涙が溢れた。