ハッピー☆ウエディング
心の隙間
あたりまえだけど、12月に入れば頬を撫でる風が冷たい。
でもきっと、この寒さはそれだけじゃない。
学校の帰り道、母親に買い物を頼まれたあたしは、駅前通りを買い物袋を下げてブラブラ歩く。
通り沿いに並ぶ店舗では気が早いクリスマスのイルミネーションがキラキラとまるで、宝石箱を引っくり返したかように赤や緑、それに黄や青に輝いている。
そして、その輝きのあちこちには『恋人のために・・・』なんてフレーズのキャッチコピーが華やかなポスターで宣伝してある。
見ているだけで、幸せな気分になるその煌めきにあたしは今、目をそらさずにいられない。
なによっ!!!
別にそんな行事いらなーいっ!!!!
キッとそれらを睨みつけた自分が虚しくなって、今度は手元の携帯に視線を落とした。
開いた液晶の画面には相変わらず、美羽とのプリクラがうつっていた。
はぁ・・・・
慶介、なにしてんのかな・・・
あたしは溜め息をついてまた携帯をブレザーのポケットにつっこんだ。