ハッピー☆ウエディング
「なに、これ…婚姻届って」
あたしは自分の父親がしている行動に理解できないでいた。
「写真もあるわよ?」
今度は母親が、写真を取り出した。
「一ノ瀬慶介(ケイスケ)さん。大手企業の商社マンなのよぉ」
いかにも嬉しそうに、両手を組んであたしの顔を見ている。
渋々写真に視線を落とす。
メガネをかけたその人は清潔感のあるスーツを着ている。
写真じゃいまいち、そのメガネの奥はわからないけど、かっこいい事はわかる。
少し、神経質そう…
「へえ、かっちょいーじゃん。ねぇちゃんの事、貰ってくれる男なんてそういないんだから、ラッキーじゃん?」
弟の亮(リョウ)が隣で、ニヤニヤしている。
「うっさい」
ポカッ
「いてぇな、ほんとの事じゃん。」
あたしは亮の頭を殴ると手に持ってた写真を投げた。
「あたしは、こーゆうタイプの人は苦手なのっ」
写真は宙を舞い、ヒラヒラと床に落ちた。
「どうゆうのが苦手なんだ?」
突然、背後で声がした。
あたしは固まったまま、両親の顔を見た。