ハッピー☆ウエディング
なぜそこに、絵梨ちゃんがいるのか理解できないあたしはただ、口を金魚みたいにパクパクとさせることしか出来ない。
「葵・・・・さん。突然ごめんなさい。でもどうしても話がしたくて」
絵梨ちゃんは、表情を変えずにあたしを見て言った。
父は彼女が一体誰なのか知っているようで、あたし達を心配そうに見ている。
「・・・・うん。あたしもちゃんと話がしたかった。」
そう言って、彼女を部屋に通した。
二人きりになったあたし達の間には、しばらく重たい沈黙が流れた。
最初にそれを破ったのは、絵梨ちゃんだった。
「葵さん、慶介から連絡は?」
向き合うように座るあたし達。
「・・・・・・・ない、です」
妙な敗北感に、なんだかかなしくなって下唇をキュッと噛締めた。
「やっぱり」
そう言って、絵梨ちゃんは「はぁ」と溜息をついた。