ハッピー☆ウエディング

そして顔を上げ、あたしの目を真っ直ぐ見据えた彼女は静かに口を開いた。


「あたし達、兄妹の事聞いてください」

「・・・・・」

「あたしと慶介は本当の兄妹じゃないの・・・」



知ってる。



それは、慶介本人から聞いてる。


絵梨ちゃんは、あたしから視線をそらすと、手元のティーカップを見つめた。
まだ温かい紅茶から湯気がゆらゆら揺れている。

彼女はそれを見つめながら続けた。


「あたしがまだ3歳の時だった。
早くに実の母を亡くした父は、慶介の母と再婚したの。
慶介もまだ10歳だったわ」


そこまで言って、紅茶を口に含むと絵梨ちゃんは窓の外に目をやった。


なんだか昔を懐かしむような・・・
そんな瞳・・・・・・。



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