ハッピー☆ウエディング
スーパーマン
「葵と一ノ瀬君が結婚する理由?」
「うん」
あたしの唐突の質問に新聞を読んでいた父が顔を上げた。
大事な娘をお嫁にやるんだもん。
お父さんだって、とっても考えた事に違いない。
だから、真実もちゃんと聞いてるはず。
そして、父は少し迷って、言いにくそうに口を開いた。
「理由か・・・・・・・理由は、特にないなぁ」
「はあ!?」
はあああぁ!?
特に、なしっ!!?
開いた口が塞がらない。
目の前の、この父親は大事な大事な娘が嫁ぐってのに、その理由が『特になし』かい!!
あたしは、言い返そうとしたけど、その力もなくなってしまった。
「・・・・・・」
「・・・・葵、一ノ瀬さんとうまくいってないのか?」
あたしの様子を気にして、父は遠慮がちに聞いた。
絵梨ちゃんがうちに来たんだ。
無理もない。
でも、お父さんに心配かけらんないよ。
いくら、お父さん達が決めた結婚でも、今はあたし達の問題。
二人の事にさせて欲しい。
「大丈夫だよ。なにかあったら、また言うから」
「・・・・・そうか」
あたしはそれだけ言うと、父に笑顔を見せた。
やっぱり、明日、慶介に会いに行こう。
明日は土曜日だし・・・ゆっくり、なにを言うか考えよう。
そして、もし・・・・二人に別れが訪れたとしても慶介に伝えたい事があるの。
『あなたに会えて、幸せでした』って。