ハッピー☆ウエディング

その日、とても天気はよかった。

最近はどんよりと曇った日々が続いていたから久しぶりに晴天。
冬だけど、陽の当たる場所にいると、ポカポカと暖かい。

そんな、穏やかな日。





バスを乗り継いでようやく辿り着いた、街。
バスを降りた瞬間、胸がドキドキと騒ぎ始めた。

この街に慶介が住んでる。


それだけで反応するあたしの体。



もう、重症だな・・・


「はあ」


あたしは、胸をギュッと押さえて慶介のマンションへと足を向けた。




夕日が綺麗。
空は茜色に染まって、あたしの顔まで赤く染めている。


すれ違う人達は、仕事帰りのサラリーマンが多い。
足早に、帰路に着く。
その中に慶介がいないかなんて、あたしの目は自然と人混みの中に引き寄せられてしまう。

サラリーマンの中にも、時々楽しそうに歩くカップルとすれ違う。
これから夕食でも食べに行くのかな。


あたしは、一人、その波に逆らって歩いた。






・・・・こっちの方が早いかな?





あたしの目の前に細い路地が現れた。
人通りがあまりないひっそりとした道。
時々通る人も先を急いでいるように歩いている。


真っ直ぐに進んでも慶介のマンションに着く事は出来るけど、でも、こっちの道の方が距離は短いんだ。


慶介には、あまり通るなと言われてる。



うん、大丈夫だよね?





あたしは、早く慶介に会いたくて、細い路地に入った。




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