ハッピー☆ウエディング
真正面から、夕日を浴びてあたしは早足で進む。
ビルに挟まれたこの道は、風が強く吹いてる。
肩より伸びた髪を、今日は初めて巻いた。
慶介に少しでも近づきたくて、背伸びをしたあたし。
恋をして、あたしちょっとは変われたのかな?
右手の薬指にきらりと光る指輪を夕日にかざした。
慶介・・・・・・
「きゃああっ!」
一人物思いにふけっていたあたしは、誰かの悲鳴で現実に引き戻された。
なに?
キョロキョロとあたりを見渡す。
けど、あたしの目には何も見えてこない。
なんだろう・・・。
とうとう幻聴まで・・・。
そう思った瞬間―――
「誰かあー!」
「!?」
今度ははっきり聞こえた。
誰?
・・・・・どこ?
明らかに異常な声にあたしの足は竦んでしまった。
膝が小刻みに震えだしてしまう。
この路地に他に人の姿が見えない。
どうしよう!?
ふと、脇に目をやると、行き止まりの路地の奥に人影が見えた。