ハッピー☆ウエディング


「こんな所に連れ込んで・・・なにしてんの!?離してあげなよっ!」



息もつかずに、あたしは叫ぶ。

突然飛び込んできたあたしに、一瞬男が怯んだかに見えた。




「なんだ?・・・お前」

「・・・・・・」




男は明らかに迷惑そうな顔をした。
絵梨ちゃんは、放心状態であたしを見つめたまま目には涙を浮かべてる。



「どっか行けよ、お前には関係ないだろ。見てわかんねぇ?今、イイとこなんだって」

「ンーンー!!!」



そう言った男は、ニヤッと笑って絵梨ちゃんの口を手で塞いだ。

あたしの足はもうガクガク。

立ってるのがやっとって自分でよくわかる。



「嫌がってるのが、わかんないの?」


あたしは震える声がばれないように男を睨み上げた。



「・・・・・女一人でなにができんだよ。お前も今の自分の状況もっと理解したら?」



男はそう言って、絵梨ちゃんの口を塞いだまま、あたしににじり寄った。

ニットの奥で男の目がギラギラと光ってる。

絵梨ちゃんは、男の手を離そうと必死に抵抗しているけど、男の力には到底敵わない。



・・・・・・怖い!



あたしは、石につまずいて、その場にしりもちをついてしまった。

なんでこんな時なにもできないの?

迫ってくる男から、あたしは起き上がる事も出来ずに、その場で後退りする。



「・・・・人、ょ・・・呼ぶから」



搾り出した声はあまりにも頼りなくて、唇をキュッと結んで、男を睨みつける。



「・・・クク・・・お前、その顔は逆効果。
たまんねぇな・・・決めた。お前からヤッてやる」

「・・・・!」




叫びたいけど喉に何か詰まってしまったみたいに声がでない。


助けを呼びたくて、あたしの手は鞄の中を弄ってる。

でも、気持ちばかりが先走って携帯を捕まえる事が出来ない。




「きゃっ」




鞄に突っ込んでたあたしの手は男にすごい勢いで掴まれた。
そしてそのまま、あたしは冷たいアスファルトの上に投げ出されてしまった。




「は・・・離して・・・・・」





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