ハッピー☆ウエディング
今まで黙っていた絵梨ちゃんが震える声で言った。
「なんでよ・・・・どうして、こんな突然現れた子に慶介をとられなくちゃいけないの?
あたし、ずっと・・・・ずっと慶介が好きだった!
それは今も変わらない。お母さんが死んじゃって、慶介だけがあたしの支えだった。
おじさんの所に住むのだってホントは嫌で、慶介が迎えに来てくれるのをずっと待ってた!
慶介が望むならって、あたし・・・・・・うっうぅ~」
絵梨ちゃんはそう言いながら慶介の胸に飛び込んだ。
慶介の首にしっかりとしがみついて、肩を震わせる絵梨ちゃん・・・
慶介はそんな彼女をただ黙って見つめている。
そして、慶介の大きな腕は、絵梨ちゃんをすっぽりと包み込んだ。
「絵梨・・・・・・」
慶介は絵梨ちゃんが落ち着くまでその力を弱めなかった。
それに一体、慶介はどんな想いを込めてるんだろう・・・。
「絵梨・・・・俺は絵梨が好きだよ。・・・・家族以上に」
慶介はなだめるように、まるで子供に言い聞かせるように優しく穏やかに言う。
絵梨ちゃんはゆっくりと顔を上げ慶介を見上げた。
「世界で誰より大事な妹だ。それは今までもこれからも変わらない。
もう、とっくにわかってるだろ?」
「・・・・・・・お兄ちゃん・・・・・」
絵梨ちゃんは小さな声でそう言うと、慶介の胸に顔を埋めた。
ほんとに・・・・・
ほんとに大好きなんだね・・・・・
あたしなんかが二人の間に割り込むスペースはない。
これっぽちも・・・・・
だけど、不思議と嫌じゃなかった。
暖かい気持ちで、あたしの小さな胸の中はいっぱいだった。