ハッピー☆ウエディング
慶介は、少し首を傾げて目を細めた。
「葵、メガネ取って」
「え?」
「・・・早く」
あたしは意味がわからず言われるがままに慶介のメガネにそっと手をかけた。
メガネを外した慶介の顔は、それだけで印象を変える。
大人びた表情から一転、少年の面影を映す。
よく見ると、その瞳はほんの少しだけ茶色がかっていた。
そのせいか、中央の黒目がすごく際立つ。
あたしは、その中に吸い込まれそうになってしまう。
いつも感じていた、その引力の秘密は“これ”だったんだ。
キレイ・・・・
そんな事を考えているあたしに慶介は、フッと息をかけた。
「ひゃ!?」
一気に現実に引き戻される。
「お前、また自分の世界に入ってたな・・・・」
呆れた表情の慶介。
しまったあぁ!!
「ご・・・ごめんなさいっ」
慌てて、なぜか謝ってしまう。
視線は泳ぎ、目を伏せた。
「・・・しょーがないヤツ」
「えっ」
小さな呟き声があたしの耳に届いた瞬間――――