ハッピー☆ウエディング
このまま時間が止まっちゃえばいいのに・・・・
あたしの髪をクシャって触る手も――
少しだけ額に触れる前髪も――
腰に回す大きな腕も――
柔らかな唇も――
あたしと慶介の時を止めて欲しい。
あたし、わがままかな?
このキス・・・・・
やめないで・・・・・・・
甘い甘いキスにあたしの体は溶けちゃいそう・・・
「髪、かわいいな」
慶介は少しだけ巻いたあたしの髪に優しく触れた。
口の端をクイッと上げてまるで子供のように笑う慶介。
困ったなぁ・・・
あたしの心臓は忙しいよ。
そしてまたチョコレートより甘い慶介に引き寄せられた、その時――
ブーブーブーブー
机に置かれたあたしの携帯が突然鳴って、あたしの体はビクリと小さく飛び上がった。
こんな時に誰よ・・・・
慶介は「見ておいで」と言ってポケットから煙草を取り出した。
そして、一本口に加えるとライターを手に、ベランダへ出ていってしまった。
あ~あ・・・・
せっかくいい雰囲気だったのに!
あたしは唇を尖らせて自分の携帯を掴んだ。
誰だよっ!
ブーブーブー
鳴り続ける携帯のウィンドを見る。
そして、画面を見たあたしは思わず携帯を落としそうになってしまった。
「・・・・な、なんで」
食いいるように画面を睨む。
え・・・・"えいた"??
「・・・エイタって・・・あのキス男?」
あたしは画面に浮かぶ名前を凝視する。
なんでぇ~!?