ハッピー☆ウエディング


「お前がいてくれて、俺・・・すげー安心した」


「・・・え?」



瑛太はあたしから視線を落とした。
手にしていたライターの火をカチカチと付けたり消したりしている。


「実は、今日のライブに業界のお偉いさんが来てたんだ。気に入ってもらえたら、そしたら声が掛かるチャンスだったんだ。・・・だから俺超緊張してた」




「情けないだろ?」とはにかむ瑛太。たばこを灰皿に押し付けて火を消した。




「・・・でも、最前列にいる葵見るたび・・・」


「え?」




そこまで言うと瑛太は俯いてしまった。



どうしたんだろう。



肩が小刻みに震えているのがわかる。



まさか、泣いてるの?



あたしが心配して瑛太の顔を覗き込んだ、その時・・・






「・・・・ククク・・・」




・・・は?



手で口元を覆っていた瑛太はあたしを見ると何かを思い出すように笑いを堪えている。







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