ハッピー☆ウエディング


「周りは超盛り上がってんのに、それに完璧ついてきてないお前が、大きな口開けてるアホ面見たら・・・なんつーか・・・・可笑しくて・・・っはは・・・」


「はぁ?」



そこまで言うと瑛太はもう限界と言うようにケラケラ楽しそうに笑った。

その言葉にあたしの顔はどんどん熱を帯びる。




「な・・・なにー?」


「あはは。ごめん、けど、そのおかげでリラックスできたのは確かだから」



まだ可笑しいのか、目じりにたまった涙を指で拭いながら瑛太はポケットに手を突っ込んだ。



「それでな・・・・名刺もらった!」

「まじでー?」



ジャーン!という効果音と共に、瑛太は一枚の紙を取り出しテーブルに置いて、興奮気味にこう続けた。



「俺らも、メジャーデビューも夢じゃない。今日はしっかりと手応えを感じた。
これで、親父を説得できる」


「お父さん・・・反対されてるの?」



あたしの質問に、瑛太は「んー・・・」と頭を掻いた。


そっか、反対されてるんだ・・・よほど理解のある親じゃないとやっぱり反対するのかな?


あたしはテーブルの上の名刺を見つめた。






「お待たせ致しました」


丁度、そこに店員さんが二つグラスを持ってきたところだった。



「ジントニックと・・・こちらはブルーエンジェルになります」



瑛太の前にジントニックを、そしてあたしの前にも小さなグラスをコトリと置いた。



「では、ごゆっくり」



そう言って、店員さんは綺麗にお辞儀をすると、カウンターの方へ戻って行った。



あたしは、目の前に置かれたグラスをじっと見つめた。




これ・・・お酒?









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