ハッピー☆ウエディング
テーブルの上の小さなグラス。
アーチ型の曲線を描くそのグラスの中では青と黄色がきれいに混ざり合って、なんとも言えない色を生み出している。
「・・・きれい」
グラスを見つめたままポツリとそんな事を言ったあたしを見て、瑛太は目を細めた。
キレイだけど、お酒飲めない・・・。
どうしよう。
あたしの思いに気づいたのか、瑛太はニヤリと笑って言った。
「平気だよ。それ、ノンアルコールだし」
「え?」
その言葉に顔を上げると、瑛太は自分のグラスを持って、あたしの前に差し出した。
慌てて、あたしもグラスを手に持つ。
「カンパーイ♪」
『チン』と小さな音を立ててあたし達は、乾杯をした。
瑛太はあたしの様子を伺ってる。
あたしは、恐る恐るグラスに唇をつけた。
そしてそのまま一口ゴクリと飲み込んでみる。
その途端、口の中いっぱいに広がる、レモンの甘い香りと、サイダーの炭酸。
「おいしい!」
「だろ?ブルーエンジェルって聞いた時、お前の顔思い出したんだ。だから絶対葵を連れて来ようって思ってた」
そう言って瑛太は、悪戯っぽく微笑んだ。
なんだろう、この胸をくすぐるような感じ。
瑛太は簡単に、女の子が喜びそうな言葉を言ってしまうのだろうか。
きっと、他の女の子にも言ってるんだろうな・・・
そして、あたし達は暫くライブの事とか他愛もない話をして過ごした。